イニシエーション・ラブ (乾くるみ)感想

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書籍情報

           
タイトルイニシエーション・ラブ
著者乾 くるみ
出版社文藝春秋
発売日2007年04月
商品説明僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説ーと思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。
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目次

作品紹介

この作品は著者自身(かどうかは知らないが)が「最後から二行目で別モノになる」と裏表紙で予め告知しているのが特徴的だ。早い話以下のように紹介がなされている。

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

本書裏表紙より

いいのか、それ言っていいのか!?と驚かずには要られない、なんとも挑戦的な文面である。こういう書かれ方をしていると、おおかたどんなトリックだか想像出来てしまうというのに…。

それに、なんだかこの紹介文自体が読んだ人の感想のような……。

感想(少しネタバレあり)

普通に読み進めている分には、普通の青春小説だ。本作はサイドA、サイドBという二つのパートに分かれているのだが、少なくともサイドAを読み切った時点では「やべえ、超爽やか!」という感じで特別ミステリらしい違和感もなかった。

そしてBサイド、ここからが本番。もう表紙裏でもラスト二行前と公言されている通り、このBサイドが肝である。

詳細についてはここで言及することはないが、このBサイドはある程度ミステリを好んで読んでいる人ならば、仕掛けが分かるように書かれていると思う。

Aサイドの物語とBサイドの物語の決定的な違いはラスト2行前までには見破れる。

ただ、ラスト2行前に驚きが隠されているのは、当然読者としては承知済み。このラストについても巧妙には書かれているが、本当に驚くべき所は別にあるし、表紙裏で書かれている通り二度読みしたくなるはず。

個人的な感想を言うと、二度読みする前の時点では「うわあ…」という印象、ラストを知った上で再読すると「おお、凄いな」と言う印象。

いくら落ちても受ける捕手が止められなければそれは武器にならない。この手の作品は受け手によって大きく評価が異なってしまいがちだが、大魔神佐々木の相方が球界屈指のキャッチャーであったように、これを読む読者も寛容な心で受け止めて欲しい。

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