蜃気楼の殺人(折原一)感想

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作品紹介

叙述トリックを駆使した大どんでん返しのイメージが強く人によっては苦手に感じるであろう折原一の作品の中で、比較的作品に入りやすく書かれているのが、この「蜃気楼の殺人」だと思う。

あらすじについてはGoogleブックスの情報をそのまま載っけておきます。

銀婚式を迎えた野々村夫妻は、新婚旅行の想い出を辿るように、能登半島へと旅立った。だが夫は殺され、妻は行方をくらました。両親の足跡を追いかける娘の万里子は、25年前の二人が、もう一組の男女と接触していたことを知る。過去と現在とが錯綜する折原マジック。万里子が到達した、驚愕の真相とは。

https://books.google.co.jp/books/about/蜃気楼の殺人.html?id=uLV4AAAACAAJ&redir_esc=y

感想(少しネタバレあり)

私は「倒錯のロンド」など著者のらしさが全開に出ている作品をいくつか読んでいるが、この「蜃気楼の殺人」は良くあるトラベル・ミステリーに著者らしさを詰め込んだ作品という印象を受けた。


どのへんが折原一らしいかというと、トラベル・ミステリーは犯人捜しよりアリバイ崩しが中心である事が多いが、この作品はアリバイ崩しとは別のところに焦点が当たっている点だ。

電車に揺られて遺体の発見現場に行っても、時刻表から犯人の行動を推測したりはしないのである。意外な事件の真相、思ってもいなかった犯人の登場で読者を驚かせ、楽しませるという点で、この作品もやはり折原一らしいと思う。


個人的に面白かったのは、折原作品では珍しく将来への明るさが見えるエンドだったところだ。

そのせいで被害者の方々が本当に不憫で仕方なく思えるのは内緒の話だが、いろいろと二つのモノが交錯するストーリーであったし、結末が大きく分かれるのはリアル感があって良かった。


なんとなく喪失感を味わえる、秋のような(?)作品だったように思う。今春だけどね。

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