少女地獄(夢野久作)感想

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作品紹介

ドグラ・マグラで有名な夢野久作の短編集。

虚言に虚言を重ね心の行き場が無くなった少女の物語「何でもない」、殺人が殺人を呼んだ「殺人リレー」、衝撃的な復讐劇「火星の女」と三人の女性に巣くう心の闇を描いた作品になっている。

書籍情報

           
タイトル少女地獄
著者夢野久作
出版社東京創元社
発売日2016年08月31日頃
商品説明書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門にふさわしい四編を精選した、傑作集を贈る。ロシア革命直後の浦塩で語られる数奇な話「死後の恋」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にした「少女地獄」ほか。不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示す、ベスト・オブ・ベスト!
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青空文庫で公開されているので、そちらで無料で読むことが可能。

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感想(少しネタバレあり)

どのストーリーにおいても、純粋に娯楽として楽しめる物語でありながら、人間の心に潜む闇について考えさせられる絶妙なバランスとなっており、特に「何でもない」は秀逸だと感じた。

この「何でもない」の主人公、ユリ子は虚言に虚言を重ね、散々周りの人間を惑わし、自らの引き際さえも他人を利用するという、なんとも恐ろしい女性だ。

ストーリー序盤で明かされている物憂げな彼女の遺書も、この物語を読み終える頃には、違ったものに見えてくる。

嘘から始まり嘘にて終わる。嘘だから何も無い。

そんな彼女の一生はとても魅力的で悲しく映る。

「何でも無い」について少しだけ触れたが、もちろん他の二作もなかなか面白い。

また、短編集なので、時間が無い方でも気になる作品だけ読む、という楽しみ方もできる。

きっと一本はハマる作品があるはず。

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