11枚のとらんぷ(泡坂妻夫)感想

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最近涼しくなってきて、秋を感じるようになってきた。

てか、週末に雨固めるのやめれ。

雨続きで家から出づらいので、今日もミステリの名著を。

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作品紹介

「蔭桔梗」で直木賞を受賞している泡坂妻夫の長編ミステリ第一作目が本作11枚のとらんぷ。

著者のミステリ作品の中でもとりわけ評価が高い今作は、マジックショーの裏側で起きた殺人事件を著者ならではの緻密さでえがいている。

実は著者はミステリ小説家でありながら奇術師(マジシャン)であり、しかもマジシャンとしての著書もあるというなかなか珍しい作家となっている。

というか唯一無二では。

11枚のとらんぷは、そんな著者のマジック知識が存分に発揮されており、とても興味深い一冊となっている。

感想(少しネタバレあり)

著者の趣味が前面に押し出されていながら、読者がそのマニアックな知識に辟易することなく読むことができる絶妙なバランスに加え、本格ミステリの醍醐味もしっかり味わえる作品。

うん、面白い。

なにより作中の登場人物たちがラストまでマジックに取り憑かれているのがいい。

読んでる自分もそうだけれど、キャラクタ達も惑わしていく様はまさにマジシャン。

著者が本当にマジックを愛していることがひしひしと伝わってくるし、きっとこの作品を楽しんで書いていただろうことが伺えて好印象な締め方だったように思う。

作品としての魅力もさることながら、著者自身の生き方についても魅力を感じずには要られなくなる、不思議な力を持った作品だ。

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