水車館の殺人(綾辻行人)感想

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書籍情報

           
タイトル水車館の殺人 <新装改訂版>
著者綾辻 行人
出版社講談社
発売日2008年04月15日頃
商品説明仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。一年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか?密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは…!?本格ミステリの復権を高らかに謳った「館」シリーズ第二弾、全面改訂の決定版。
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目次

作品紹介

綾辻行人氏の通称「館シリーズ」の二作目となる本作。シチュエーションの細かいところはもちろん異なるものの、今作においても、前作「十角館の殺人」に続きクローズドサークルが基盤となっている。

今作の面白い所は、過去に起きた事件の解決を基本線にストーリーが進行していく点であり、作中の「現在」より一年前に起きた事件の際に「水車館」に居合わせたメンバーが集結し、そこに前作に登場したキャラクタを加え、過去の考察をしていく流れとなっている。

感想(少しネタバレあり)

ストーリー中盤くらいまではひたすら過去を追っている風で進んでいき、中盤以降になってくると過去と現在が一気に近づく。ラストではピタリと重なるようになっており、このハマった感はお見事。

また、綾辻氏が後書きで記していたように、ある程度情報が与えられ推理はできるが、決して確信を得られるまではいかない。ミステリファンの方ならいろいろ想像を働かせながら楽しく読み進めることができる構成となっている。

万一途中でなんとなく分かってしまった人でもしっかり驚ける結末を用意してくれているし、読み手はもちろん、犯人すら手のひらで踊らされているような感覚を味わえる。本当にストーリー展開が上手だ。

最後に見えた灰色は、本当に灰色だったのか、果たして。個人的に灰色であることを願うことにしよう。

間違いなく名作だ。

今作からでも充分に楽しめる作品ではあるが、シリーズものなので、前作「十角館の殺人」から手に取ると一層楽しめるのでおすすめ。

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