ダレカガナカニイル(井上夢人)感想

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作品紹介

著者が、徳山諄一とのコンビである岡嶋二人として『クラインの壺』を発表したのち、ソロデビューを果たしたのがこの作品だ。

いやにホラーテイストを感じるタイトルだが、少し読み始めるとこのタイトルが”どストレート”である事にすぐ気がつく、いかにも井上夢人らしいSF要素が盛り込まれたミステリーになっている。

なんかタイトルでこれを思い出したのは内緒の話↓

「やっぱり…、嘘だったんじゃないですか…、中に誰もいませんよ」

感想(少しネタバレあり)

新興宗教団体の警備にあたることとなった男を視点に物語は展開していくのだが、この男がことごとく運がない。

なんせ、ただでさえ面倒な職場に飛ばされたその日のうちに、警備していた団体で謎の火災が起き、警備の依頼人である教祖が死亡し、結果として自身はクビである。

そして更に、この火災事件をきっかけに「見知らぬ女性の意識」が男に内在してしまうという、まさに踏んだり蹴ったりな状況に見舞われてしまう。

男は当然その状況に混乱し、「自分は狂ってしまった」と嘆くが、対する女性側は結構楽観的だったりするのが読んでいて面白い。

また、ストーリーを通してこの二人が親しくなっていくのがうかがえるのも良い。「この二人の掛け合いけっこう好きだなー」と思えたら、ラストで明かされる事実がより一層印象強いものになるはず。

笑いどころあり、驚きあり。『ダレカガナカニイル』は井上夢人のストーリーテラーっぷりが存分に発揮された作品だ。

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