八つ墓村(横溝正史)感想

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書籍情報

           
タイトル八つ墓村 金田一耕助ファイル1
著者横溝 正史
出版社KADOKAWA
発売日1971年04月26日頃
商品説明
画像

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目次

作品紹介

探偵「金田一耕介」が活躍するシリーズの続編である本作。

作品のタイトルにもなっている人里離れた山村「八つ墓村」を舞台に、その土地特有の因習になぞらえた連続殺人事件をテーマにした作品になっている。

とにかくよそ者に厳しい閉鎖的な空気は、稲川淳二だったら村に入った瞬間に「嫌だな~怖いな~」と言ってしまうであろう程だ。いや、突然「いるっ!」と叫び出すかも知れない。

ちょっと昔だと「ひぐらしのなく頃に」とか、最近だと「ガンニバル」とかが、シチュエーションが似てる感じか。

どの時代でも人を惹きつける要素ってのは変わらないのかも知れない。

感想(少しネタバレあり)

怪談の人とかともかく、『八つ墓村』はなかなか読み応えのある作品だ。推理要素あり、ホラー要素あり、恋愛要素もあったりする。

その中でも一番色濃いのはやっぱりホラーだろう。
設定からして、もう色々と怖さを引きたてる。八つ墓村の由来になったと言われるている、村人たちによる八人の武者殺し。

これが村に「祟り」をもたらした原因と伝えられており、その首謀者の末裔が本作の主人公になるのだ。しかも、主人公の父親は村人を大量虐殺し村から忌み嫌われた男である。

当然の如く、主人公の来訪は村人から良く思われず、主人公の神経は疲弊していく。嫌われているだけならまだいいが、命の危険まで感じてしまうレベルなのだからかなわない。主人公が感じる恐怖が十二分に伝わってくるのが、この作品の魅力の一つだと思う。

推理小説としての見どころは、探偵金田一耕介を撹乱したホワイダニットだろう。

最終的に犯人の犯行動機が示されるが、これがとてもコワイ。発想が一枚上でコワイ。まさかそんな動機を持ってして殺害が行われていようとは……と大抵の読者が驚くことになるのではないか。

いろいろ怖い所が多いとは言え、最終的にハッピーエンドを迎えるのもこの作品のらしい所であるように思う。そこまで辿り着くまでに主人公が相当苦しんだので、素直にああ良かったと感じることが出来た。ハッピーエンドが薄っぺらくならないのはこの作品の重厚さ故であろう。

『八つ墓村』、いい作品だった。

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