取っ付きやすさ:
トリック:
ストーリー:
鮎川哲也の傑作として有名なりら荘事件。
先に言ってしまうと、個人的に大好きな作品で何回か読み返している一押しのミステリー。
書籍情報
タイトル | りら荘事件 |
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著者 | 鮎川哲也 |
出版社 | 東京創元社 |
発売日 | 2006年05月 |
商品説明 | 残り少ない暑中休暇を過ごすべく、秩父の『りら荘』に集まった日本芸術大学の学生たち。一癖も二癖もある個性派揃いである上に各様の愛憎が渦巻き、どことなく波瀾含みの空気が流れていた。一夜明けて、りら荘を訪れた刑事がある男の死を告げる。屍体の傍らにはスペードのA。対岸の火事と思えたのも束の間、火の粉はりら荘の滞在客に飛んで燃えさかり、カードの数字が大きくなるにつれ犠牲者は増えていく。進退窮まった当局の要請に応じた星影龍三の幕引きや如何?贅を尽くしたトリックと絶妙な叙述に彩られた、純然たるフーダニットの興趣。本格ミステリの巨匠鮎川哲也渾身の逸品。 |
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目次
感想(少しネタバレあり)
クセの強い学生たちが羽伸ばしに集まった「りら荘」。その付近で男性の死体が見つかり、側にはトランプのカード、スペードのAが落ちていた。
と、何とも意味ありげなメッセージが残された上で、連続殺人劇の幕が開けていくこととなる。
最初の事件が起きてからは、とにかくテンポ良くストーリーが展開する作品となっており、中弛みしなく飽きない。
また、本作はテンポが早いと言うのも特徴であるが、「被害者が増える度にそれに併せて残されたトランプカードの数字も増えていく」
という犯人の遊びによって、否応なしに被害者の増加と被疑者の減少を思い知らされるという、かなり残酷な仕様であるのも特徴。
この残酷さとテンポの早さが作中の登場人物の緊張感をモロに読者に伝える要因となっており、読者は目が離せなくなってしまう。
もちろん本格ミステリーとしての見せ場もある。
「りら荘」で起きる事件は全て殺害方法が異なっており、至る所にトリックが散りばめられている。それらを一つ一つ論理的に紐解いていく様子が美しい。
中には突拍子もない豪快な技を駆使する事件もあるものの、これはこれで「そんな事が出来るのか…!」と驚くばかり。
もはや「りら荘」で起きた細かい事象すべてに意味があるレベルの構築で、本当に作品が丁寧に作り上げられていると思う。
これほど読後感が良い作品とはなかなか出会えないはず!