プリズム(貫井徳郎)感想

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書籍情報

           
タイトルプリズム
著者貫井徳郎
出版社東京創元社
発売日2003年01月
商品説明小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓の鍵、睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが…『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んだ衝撃の問題作。
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目次

作品紹介

1999年に刊行され、後に「このミステリーがすごい!」や「本格ミステリ・ベスト10」にてランクインしているのが、本作「プリズム」である。

貫井作品の特徴は、読者に驚きを提供してくれるのはもちろんのこと、人間味溢れる登場人物が作り出したストーリーが面白く、そして悲しく……と、とにかく読者に訴えかけてくることにあると私は思う。

本作もその例に漏れず人物が良く描かれており、各人物の感情に惹かれるはずだ。

感想(少しネタバレあり)

この作品は4つの章で構成され、各章毎に異なる人物の目線で一つの事件を追っていくのだが、この各章における主人公というべきキャラクタたちの、事件への関わり方が実にいい。率直な印象として、どの人物も自分自身を第一に動いていると私は感じた。

事件が解決しようがしまいが関係ない、自分の知りたかったことだけ知ることができれば、自分の心が軽くなれば、という気持ちを抱えながら事件に向き合っているのである。

そのせいか、各人物たちが推理した結果辿り着いた犯人はなかなか個人的感情が入っているのがうかがえて面白く、実にリアルに見える。私も思わず「実際に殺人事件に出くわしたら、このように周囲の人間たちは自分の思うがままに推理していくんだろうか」と考えてしまったほどだ。

そして、理由はさまざまながら犯人を知るために奔走する人物たちが、自分の中で犯人が分かってしまったらその後のアクションを起さないのも面白い点だ。

犯人捜しのために多忙な中時間を割いているのにも関わらず、自身の中で事件の真相が分かったらそれで満足だと言わんばかりに、事件から手を引くのである。

しかしそれは、一般人が到底到達し得ない「完全に穴のない」推理への諦め、事実を知ろうと何かできるわけでもない無力さ……己の人生から引き際を悟っているようにも見ることもできる。特に第一章と第四章の引き際は見比べると面白いはずだ。

因みに最大の驚きどころは第四章の結末。結末がある程度読者に委ねられるのも『プリズム』の特徴であるとは言え、第四章の推理が事実だとしたら恐ろしすぎるし、その推理に辿り着いてしまったことが悲しすぎる。著者はいくつかの推理を読者に授けてくれたわけだが、ラストにとんでもなくエグい爆弾を投下してくれたようだ。

それにしても、この作品に登場するある男性、疑われすぎである。

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