ねじれた家(アガサ・クリスティ)感想

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ストーリー:

書籍情報

           
タイトルねじれた家
著者アガサ・クリスティ/田村隆一
出版社早川書房
発売日2004年06月
商品説明ねじれた家に住む心のねじれた老人が毒殺された。根性の曲がった家族と巨額の財産を遺して。状況は内部の者の犯行を示唆し、若い後妻、金に窮していた長男などが互いに疑心暗鬼の目を向け合う。そんな中、恐るべき第二の事件が…マザー・グースを巧みに組み入れ、独特の不気味さを醸し出す女史十八番の童謡殺人。
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目次

作品紹介

「そして誰もいなくなった」で有名なアガサクリスティの著書の中では、やや知名度的に劣る印象はあるものの、1949年の刊行から世界中で読まれている本作。

そして誰も~は王道的なクローズドサークル、次々と起こる連続殺人で息つく間もないテンポの良い展開が見どころだったが、「ねじれた家」は第一の殺人(とは言っても表向きには事故とかに見えなくもない)から物語が始まり、次の事件が起きるまでに長くの時間を要し、その分、人物像にスポットが当たるのが見どころだろう。

感想(少しネタバレあり)

そこで語られるのは裏表紙でも紹介されている、ねじれた家のねじれた人物たちの人物像。その家に関わる人間全てが汚れていて、なんとなく怪しい。誰が犯人でも驚かない。資産家の父を殺害する理由は家族誰にもありそうな……とまさに先が読みづらい展開となっている。

なんせ、物語後半までは次の事件も起きず主人公である男がひたすら家族の考察をしているだけなのだ。その考察を受ける読者は、もちろん物語を理解するうえで男の情報が頼りになるし、男が行動してくれないと新たな情報を得ることができない。

正直な所「そして誰もいなくなった」のような作品を好む方はこの作品特有のテンポが受け入れられないかも知れないと思ったし、自分自身も途中までは読んでて退屈していたのが事実。

それでも、話を追っていく毎に「先が読めない」「どうオチるんだろう」という作品への興味が湧いていくので、読ませる能力はさすが。アガサの展開力が成す技ということだろうか。

ストーリー後半、第二の事件が起きてからの展開は見事。結末は本当に予想外、そして悲しい。ねじれた家が生み出したのは、紛れもなくねじれた人間だった。

主人公の心情描写が読者である自分の気持ちにピンズドで、心が痛くなる。面白さより悲しさが立つが、悲劇のストーリーとして読者の心を打つ作品だったと言うことだろう。

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