そして誰もいなくなった(アガサ・クリスティ)感想

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“ミステリの女王”の異名を持つアガサ・クリスティの有名作、”そして誰もいなくなった”。

自分がどうこう言わんでも、超有名作品だし、最高クラスに評価されている作品ではある。タイトルが秀逸だよなあ、名作はここからして違うわ。

20年ぶりくらいに読んだけれど意外とストーリー覚えてたから、やっぱり面白い作品なんだと思う。

書籍情報

           
タイトルそして誰もいなくなった
著者アガサ・クリスティ/青木久恵
出版社早川書房
発売日2010年11月15日頃
商品説明その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が響く…そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく!強烈なサスペンスに彩られた最高傑作。新訳決定版。
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目次

作品紹介

イギリスで1937年に生まれた本作。

アガサ・クリスティの作品は数あれど、その中で最も世界中で売れている作品となっている。もちろん評価も高く、この作品に影響を受けたと言われる作品はとても多い。

本作はインディアン島という孤島に集められた10人が童謡に見立てた連続殺人事件に巻き込まれていく、という代表的なクローズドサークルの作品となっている。孤島、館、童謡殺人とミステリファン垂涎のシチュエーション。

特にこのジャンルが好きな人なら必読だ。

感想(少しネタバレあり)

結論から言えば、名作の評価に違わず、この作品は何度読んでも面白かった。読み始めたら、最後のページを捲るまで本を閉じることが出来ないくらい。

この作品はとにかく心情描写が細かい。大体の場合、各人が自室に戻り一息ついたところで、自身の考察や回想が行われるが、その描写が上手い。犯人が身近にいる恐怖、自分が死ぬかも知れない恐怖が怖いほど良く伝わってくる。

それに加え、キャラクタ自身の過去への後悔も語られ、キャラクタの個性が分かり易い。書き分けも上手い。

個人的に面白いと思ったのは、各人の考察の中に犯人自身の考察も含まれている点。

この作品ははっきりとした犯人の視点は描かれていないので、全員が被害者のように映るし、それは犯人も同じです。

犯人の心理を見せることで、10人の中に犯人がいることを読者に意識付ける。それとは裏腹に、事件の方は「本当に犯人は中にいるのか?」と疑ってしまうくらい犯人がよめない。

居るはずなのに見当が付かないという絶妙な面白さを作りあげています。

ストーリー終盤、登場人物が3人になった所から、”そして誰もいなくなった”までの流れも圧巻です。人物の恐怖、絶望が鮮やかに描かれており、こうなるのが当然と言わんばかりに最後の凶器が現れ、吸いこまれていくように終わる。

海外小説っていうだけで、なかなか手に取りづらい部分があって読んだことがない方がいると思いますが、読んでみるとわけないですよ。しっかり日本語訳されてるわけですし。

未読の方は是非!おすすめです。

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