ゼロの焦点(松本清張)感想

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書籍情報

           
タイトルゼロの焦点改版
著者松本清張
出版社新潮社
発売日1971年02月23日頃
商品説明前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。ようやく手がかりを掴んだ時、“自殺”として処理されていた夫の姓は曾根であった!夫の陰の生活がわかるにつれ関係者がつぎつぎに殺されてゆく。戦争直後の混乱が尾を引いて生じた悲劇を描いて、名作『点と線』と並び称される著者の代表作。
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感想(少しネタバレあり)

戦後初期を舞台にしており、当時の雰囲気を感じさせてくれる作品。

『点と線』では政治的な暗い背景のもと事件が起きたが、社会派と称する、されるだけあり今作も同様に時代的背景を組んだ作品になっているように思う。

『ゼロの焦点』では女性視点でストーリーが展開されるが、この女性の心理描写が細かく面白かった。

登場人物の過去が影響している訳で、一概にこの時代の~とは言えないのかも知れないが、本作の女性たちは一様に自信を持っているように見えとても力強く映り、当時を知らない自分に”戦後間もない日本の女性たちは意志が強かった”という印象を植え付けるほど。

しかし力強さの裏には、自身の立場を守ることへの焦燥も垣間見る事ができ、この”自信”と”不安や焦り”の危うい心のバランスが本作の見所であり面白さであると思う。

言ってしまうと自分の祖父が好きだった著者の作品なので、昭和と平成のはざま世代の自分に取ってはかなり古い作品になってしまうのだけれど、名作は時代も超えるもの。

今の時代に読んでもしっかり面白い作品だった。

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