湖底のまつり(泡坂妻夫)感想

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作品紹介

1978年に刊行された歴史ある本作は、村祭りや住民運動と、1988年生まれの自分であっても想像付かない要素が盛り込まれており、同じようにこういった時代や土地を知らない人にはこの要素だけでも興味深いだろう。

いろんな作家からとても評価されている名作で、華麗な騙し絵なんて言われている。

書籍情報

           
タイトル湖底のまつり
著者泡坂妻夫
出版社東京創元社
発売日1994年06月18日頃
商品説明傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物はだれか。読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。
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感想(少しネタバレあり)

紹介で「華麗な騙し絵」と評されているとおり、いろいろな意味で読者の想像を超えてくる作品。

まず、祭の様子や川の流れ、舞台となった千字村の情景が浮かんでくるような、丁寧な描写が印象的。

おどろおどろしい雰囲気になりがちなミステリというジャンルで、透き通るように美しい村が描かれているのが何とも対比的で面白い。

だいたいこの手の村が出てくる黒い部分が強調される気がするが。

ミステリの肝であるトリックもまた美しい。

決して派手でなく、誰もが驚く仕掛けではないのかも知れないが、それでも自分は作品を最後まで読んだときにその必然性に驚かずにはいられないかった。

本当に物語の結末とキレイに繋がるのだ。無駄がない。

…とこれ以上は控えておくが、とにかく言いたいのは物語として非常に美しいということ。

なかなか出会えないレベルの作品だ。

一部表現が過激な部分も含んでいるが、まあこれも最後まで読めばきっと…

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