今回のできごと
日本の会計検査院が2021〜2023年度にかけて、中央省庁など40機関・356システムのセキュリティ対策を点検したところ、脆弱性対策が不十分なケースが相次いで見つかったそうです。
参考/出典:
- nippon.com
- Yahoo!ニュース
- 会計検査院:各府省庁等の情報システムに係る情報セキュリティ対策等の状況について
この記事では、このニュースのポイントを整理しつつ、背景や今後の課題を深掘りしていきます。
会計検査院(Board of Audit of Japan)は、国の会計(お金の出入り)を監査する独立機関です。
法律に基づき、内閣や各省庁、さらには国からお金をもらっている法人・団体に対して、ちゃんと適正にお金が使われているかを調べます。
もともとは「お金の使い方チェック」が中心でしたが、
- 公共事業の効率性
- 行政のシステム運用(今回のセキュリティチェックなど)
- 国際機関への拠出金の使われ方
といった幅広い分野に踏み込んでいます。
ニュースのポイントを整理
対象規模
調査対象は 40機関・356システム。かなり広範囲にチェックされています。
問題が見つかった数
そのうち 12機関・58システムで脆弱性対策の不備が発覚。約3割の機関が引っかかった計算です。
どんな不備があったのか
- アクセス権限の管理がずさん
- パスワード認証機能の管理が不適切
つまり、基本的なセキュリティルールが守られていなかったという話ですね。
背景
日本では「国家サイバー統括室」が中心となり、セキュリティの統一基準を整備しています。今回の点検も、その基準に照らして行われました。
国家サイバー統括室は、内閣官房に設置された、日本のサイバーセキュリティ戦略を統括する司令塔。
- 政府機関や重要インフラのセキュリティ基準を策定
- 各省庁の対策を調整・監督
- 攻撃対応や国際連携も担当
以前の「NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)」を改組し、2025年7月から新体制で運営されています。
会計検査院の指摘
「基準に沿った対策をちゃんと実施してください!」と、各機関に求めています。
ここから深掘りしてみる
リスクはかなり大きい
アクセス権限やパスワード管理の不備は、サイバー攻撃者にとって格好の侵入口。もし行政データやインフラ情報が漏洩したら。。と影響は計り知れません。
制度はあるのに守られていない
制度的には整備が進んでいます。問題は「ルールがあるのに現場で徹底されていない」こと。ここに大きなギャップが見えます。
なぜ守られないのか?
考えられる要因はこんなところでしょう:
- セキュリティ人材の不足
- 予算やコストの壁
- 危機意識や責任体制の弱さ
- 古いシステムによる技術的負債
正直、「よくある理由」がずらっと並んでいます。
今後に必要なこと
- 第三者による監査やレビューをもっと強化
- 多要素認証の導入、パスワードポリシーの厳格化
- 「最小権限の原則」に基づいた権限管理
- 職員へのセキュリティ教育の徹底
- 老朽システムの更新・モダナイゼーション
結局は「人・体制・技術」の三本柱で底上げするしかありません。
まとめ
今回の検査結果から見えてくるのは、制度と現場運用のギャップです。
これは行政システム以外でも言えることで、同様の体質を持つ現場は日本に多いと推測されます。筆者としても、思い当たる節はとてもあります。
ルールを作っても、現場で守られなければ意味がない。むしろ安心感が逆効果になりかねません。
今後は、各機関が「なぜ守れないのか」を直視し、改善につなげられるかどうかが問われそうです。
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